5.1 感覚と知覚

感覚sensation

 

感覚受容器が感覚情報を検出するときに生じる。

感覚受容体sensory receptorは、特定の種類の刺激に反応する特殊なニューロンである。

目に入る光は、目の後ろに並ぶ細胞に化学変化を引き起こし、活動電位の形で中枢神経系にメッセージを送信する。

 

伝達transduction　　感覚刺激エネルギーから活動電位への変換

 

 

 

 

刺激に対する特定の感覚系の感度は、絶対しきい値として表すことができる。

 

 

絶対しきい値Absolute threshold 　

刺激が50％の時間検出されるために存在しなければならない刺激エネルギーの最小量。

晴れた夜には、目の後ろにある最も敏感な感覚細胞が30マイル離れた場所でろうそくの炎を検出できる。静かな条件下では、有毛細胞（内耳の受容体細胞）は20フィート離れた時計の秒針の音を検出できる。

 

 

サブリミナルメッセージsubliminal messages　意識的な認識のしきい値を下回るメッセージ

広告、ロック音楽、および自助オーディオプログラムに使用される。人々は意識の外で情報を処理して応答できる。

 

丁度可知差異just noticeable difference (jnd) または差異しきい値difference threshold

感度に最適な状況に制御された条件下で測定される絶対しきい値とは異なり、差しきい値は刺激強度に応じて変化する。

非常に暗い映画館の中で誰かが携帯電話の画面を点灯させるテキストメッセージを受信した場合、多くの人が劇場の照明の変化に気付く。しかし、バスケットボールの試合中に明るく照らされたアリーナで同じことが起こった場合、気付く人はほとんどいない。携帯電話の明るさは変わりませんが、照明の変化として検出される能力は、2つの状況下で大きく異なる。(ウェーバーの法則Weber’s law)

 

 

 

 

 

知覚Perception

感覚情報が整理され、解釈され、意識的に体験される方法。

知覚には、ボトムアップ処理とトップダウン処理の両方が含まれる。

 

ボトムアップ処理Bottom-up processing　

駆動処理環境での刺激によって感覚が引き起こされる。

友達の話を集中して聞いていたが、ガラスが割れる音と金属製の鍋が床にぶつかる音が鳴り響き、そのクラッシュ音は注意フィルターを通り抜けて私たちはそれに気づくようになる。

 

トップダウン処理top-down processing

一般的に目標指向で、遅く、意識的・意図的で、労力を要す。

黄色のキーチェーンがついた鍵を探している。、天井扇風機の上にあるはずがないことを知っているので、天井扇風機の黄色さを探すことはありません。一部の場所でのみ黄色を探し、他の場所では検索しないという行為は、自らの意識・経験に基づいている。

 

感覚はシナモンの香りを検出する香り受容体

認識は「これは家族が集まったときにおばあちゃんが焼くパンの匂い」

 

 

感覚適応sensory adaptation

刺激が長期間にわたって比較的一定のままであると知覚しなくなる。

ライトの点滅がとても気になっていたのに時間が経つと気にならなくなる。

 

 

 

 

 

注意attentionを払うか払わないかは何が感知されるか、何が知覚されるかを決定する上で重要な役割を果たす。

 

不注意による盲目Inattentional blindness

他のことに積極的に注意を向けていて、対象に注意を払っていなかったために、完全に見えているものに気付かないこと

 

ダニエル・シモンズとクリストファー・チャブリス（1999）が行った有名な研究

参加者は黒と白のユニフォームを着た人々のビデオを見て、白い服を着たチームがボールをパスした回数を数えるように求められた。

ビデオの中で、黒いゴリラの衣装を着た人が2つのチームの間を歩いたが、ビデオを見た人のほぼ半数は、ゴリラが9秒間はっきりと見えていたにもかかわらず、ゴリラにまったく気づかなかった。参加者は、白い服を着たチームがボールをパスする回数に非常に集中していたためである。

 

同様の実験で、研究者は参加者にコンピューター画面上を移動する画像を観察するように依頼することにより、不注意な失明をテストしました。彼らは、他の色を無視して、白または黒のオブジェクトに焦点を合わせるように指示されました。赤い十字が画面を横切ったとき、被験者の約3分の1はそれに気づきませんでした（図5.3）（Most、Simons、Scholl、およびChabris、2000）。

 

 

本当に重要な電話を待っている時には、シャワーを浴びていても電話が鳴っているのが聞こえるように、動機も知覚に影響を与える。

 

 

信号検出理論signal detection theory

気が散る背景に埋め込まれているときにも刺激を識別する能力。

母親が赤ちゃんの発する小さな声にもすぐに目覚めるのと同じである。

私たちの認識は、私たちの信念、価値観、偏見、期待、そして人生経験によっても影響を受ける。西洋文化の個人が非西洋文化の個人よりも特定のタイプの目の錯覚を経験する傾向があることが分かっている。

 

ミュラー・リヤー錯視Müller-Lyer illusion

線の長さは異なっているように見えますが、実際には同じ長さである。

西洋文化の人々は、直線のある建物の知覚的文脈を持っているのに対し、南アフリカのズールー人のように、村が円形に配置された丸い小屋で構成されている、大工のない景色を望む特定の非西洋文化の人々は、この幻想の影響を受けにくいことが分かっている。

 

 

 

 

 

スリルを求める子供は、強烈な酸味を好む傾向があり、性格の基本的な側面が知覚に影響を与える可能性があることを示唆している。

 

さらに、低脂肪食品を好意的に捉える人は、好意的でない人よりも、低脂肪と表示された食品の味が良いと評価する傾向がある。