2.4 心理学研究・実験における倫理

人間を対象とした研究

人間の参加者が関与する研究を実施する場合は機関審査委員会Institutional Review Board（IRB）による承認が必要である。IRBは、多くの場合、機関の管理メンバー、科学者、およびコミュニティメンバーで構成される個人の委員会である。以下の原則を念頭に置いて提案を検討する。

 

 

・各参加者はインフォームドコンセントフォームに署名する必要がある。　　　　　　　　　　　

参加者が研究の潜在的なリスクや意味合い、実験中に何を期待できるかを説明する。また参加は完全に自発的であり、いつでもペナルティなしで中止できる。実験で収集されたデータが完全に機密に保たれることを保証。参加者が18歳未満の場合、両親または法定後見人はインフォームドコンセントフォームに署名する必要がある。

 

インフォームドコンセントフォームは、参加者が何をするかを正確に説明する際に可能な限り正直である必要があるが、時には参加者の知識が調査結果に影響を与えることを防ぐために、欺瞞Deception が必要な場合がある。実験の完全性を維持するために意図的に誤解を招く可能性があるが、有害であると見なされるほどではない程度のものである。そして調査終了後その事実が明かされなければならないdebriefing。

 

 

倫理とタスキギー梅毒研究

1932年、アラバマ州タスキーギの貧しい、、黒人男性の梅毒を研究する目的で、田舎の、黒人の男性の小作人たちが実験に参加するために採用された。無料の医療、食事、埋葬保険と引き換えに、600人の男性が研究への参加に同意した。

男性の半数強が梅毒の検査で陽性であり、実験グループとしての役割を果た、残りの梅毒にかかっていない個人は、対照群となった。しかし、梅毒の検査で陽性となった人は、梅毒にかかっていることを知らされなかった。

研究が始まったとき梅毒の治療法はありませんでしたが、1947年までにペニシリンはこの病気の効果的な治療法として認識された。それにもかかわらず、この研究の参加者にはペニシリンは投与されず、参加者は研究を継続しなければならなかったので、他の施設で治療を求めることはできなかった。

40年の間に、参加者の多くは無意識のうちに梅毒を妻（そしてその後妻から生まれた子供）に広め、病気の治療を受けたことがなかったために最終的に亡くなった。この研究は、実験が全国的な報道機関（タスキーギ大学、nd）によって発見された1972年に中止された。

 

 

動物を対象とした研究

多くの心理学者は、動物を対象とした研究を行っており、多くの場合げっ歯類または鳥類を使用している。APAは、心理学のすべての動物研究の90％がこれらの種を使用していると推定している。動物の多くの基本的なプロセスは人間のプロセスと十分に類似しているため、これらの動物は、人間の参加者にとって非倫理的であると見なされる研究の代替として受け入れられている。

 

 

しかしこれは、動物研究者が倫理的懸念の影響を受けないという意味ではなく、研究者は、研究対象となる動物が経験する痛みや苦痛を最小限に抑えるように実験を設計する必要がある。

IRBが人間の参加者が関与する研究提案をレビューするように、動物実験の場合は施設内動物管理使用委員Institutional Animal Care and Use Committee（IACUC）によってレビューされる。IACUCの承認なしに動物研究プロジェクトを進めることはできまない。

 

IACUCは、関の管理者、科学者、獣医師、およびコミュニティのメンバーで構成されており、すべての実験提案が動物研究対象の人道的扱いを必要とすることを保証する責任を担っている。すべての動物施設の半年ごとの検査を実施して、研究プロトコルが遵守されていることを確認している。

 

 

 

参考

Spielman, R., Dumper, K., Jenkins, W., Lacombe, A., Lovett, M. & Perlmutter, M. (2017). Psychology. OpenStax College, Rice University. Retrieved from https://my.uopeople.edu/pluginfile.php/1097682/mod_page/content/7/PSYCTextCh_1-4.pdf