4.4 睡眠障害

不眠症Insomnia

入眠、眠り続けるのが一貫して困難なこと。就寝してから実際に眠りにつくまでに長くかかり、夜中に数回目を覚ます。不眠症の基準の1つは、これらの症状を少なくとも1週間に3晩、少なくとも1か月間経験すること。

不眠症は不安のレベルを増大させる。不安の増加は覚醒の増加につながり、覚醒のレベルが高くなると眠りにつく可能性がさらに低くなるため、これは自己永続的なサイクルになる。慢性不眠症は、ほとんどの場合、疲労感と関連しており、うつ病の症状と関連している可能性がある。

覚醒剤（カフェインなど）の使用を制限したり、日中の運動量を増やしたりする可能性がある。眠るのを助けるために市販薬over-the-counter（OTC）または処方された睡眠薬に頼ることができるが、多くの睡眠薬は依存をもたらし、睡眠サイクルの性質を変え、不眠症を増やす可能性があるため、これは慎重に行う必要がある。専門的な治療が勧められる。

 

認知行動療法Cognitive-behavioral therapyは、認知プロセスと問題行動に焦点を当てた心理療法の一種。不眠症の治療には、ストレス管理技術や、不眠症の一因となる可能性のある問題のある行動の変化を目指す。（ベッドで目を覚ます時間を増やすなど）。認知行動療法は、不眠症の治療に非常に効果的であることが実証されている。

 

 

睡眠時随伴症Parasomnias

睡眠時の不要及び破壊的な運動活性。睡眠のレム段階またはノンレム段階のいずれかで発生する。夢遊病、むずむず脚症候群、夜驚症など。

 

夢遊病Sleepwalking

夢遊病の期間中、眠っている人はしばしば目を開いていますが、コミュニケーションは取れない。夢遊病は、徐波睡眠slow-wave sleep時に最も頻繁に発生するが、いつでも発生する可能性がある。

睡眠関連の呼吸障害も患っている睡眠時遊行症の患者はすべて、呼吸障害が効果的に治療されたときに夢遊病は減少した。

 

レム睡眠行動障害REM Sleep Behavior Disorder (RBD)

レム睡眠段階に関連する筋肉麻痺が発生しない。つまり寝ている間に体が動いてしまう。蹴ったり、パンチしたり、引っ掻いたり、怒鳴ったり、おびえたり攻撃されたりした動物のように振る舞うことがある。記憶はない。

鎮静作用のある抗不安薬であるクロナゼパムは、RBDの治療に最もよく使用される。単独で、またはメラトニン（松果体から分泌されるホルモン）の用量と組み合わせて投与される。

 

むずむず脚症候群restless leg syndrome

入眠時に足に不快感を感じ、意図的に脚を動かすことで軽減される。入眠や睡眠の困難につながる。むずむず脚症候群は非常に一般的であり、慢性腎臓病や糖尿病など、他の多くの医学的診断と関連がある。

 

夜驚症Night terrors

患者にパニックの感覚をもたらし、しばしば悲鳴を伴い、身近な環境から脱出しようとする。一般的に起こった出来事の記憶を持っておらず、彼らを慰めようとする試みは効果がない。ノンレム睡眠時に発生し一般的に短時間で再び眠りに落ちる。

 

睡眠時無呼吸症候群Sleep apnea

睡眠時に呼吸が10〜20秒以上止まり、多くの場合、短期間の覚醒に関連している。気づかないうちに疲労のレベルは増加する。睡眠時無呼吸は、太りすぎの人によく見られ、大きないびきを伴う。睡眠時無呼吸は心血管疾患を悪化させる可能性がある。睡眠時無呼吸は痩せた人にはあまり一般的ではないが、体重に関係なく誰でも発症する

。

閉塞性睡眠時無呼吸Obstructive sleep apneaは、個人の気道が塞がれ、空気が肺に入るのを妨げることに起因する。

 

中枢性睡眠時無呼吸central sleep apneaは、呼吸原因期間を調整する脳の信号が中断してしまうことに起因する。

 

持続的気道陽圧continuous positive airway pressure（CPAP）

気道に空気の圧送ポンプを接続し、鼻及び口を覆って、強制的に気道を開く。

最近、新しいEPAP（expiratory positive air pressure）装置が、そのような代替手段の1つとして二重盲検試験で有望であることが分かった。

 

 

 

 

 

乳幼児突然死症候群sudden infant death syndrome（SIDS）

乳児の睡眠時に呼吸が停止し、死に至る。12か月未満の乳児のリスクが最も高く、男児は女児よりもリスクが高い。早産、家庭内での喫煙、高体温など、多くの危険因子がある。また脳の構造と機能に関係があると考えられている。

乳児は寝るときに仰向けに寝かせ、毛布、枕、パッド入りのベビーベッドバンパー（ベビーベッドのバーを覆うクッションなど）など、窒息の恐れのあるものをベビーベッドに入れない。体温上昇を防ぐために、寝るときに頭に帽子をかぶせてはいけない。また子供のいる家庭では喫煙を控えるべきである。

 

 

 

ナルコレプシー Narcolepsy

意図しない時間に眠りに落ちてしまう症状。筋緊張の欠如または筋力低下である脱力発作cataplexyに関連していることが多く、場合によっては、随意筋の完全な麻痺を伴う。ナルコレプシーと診断された個人の約3分の1は、ナルコレプシー発作中に鮮やかな夢のような幻覚を経験する。

覚醒またはストレスの高まりの状態によって引き起こされる。発作は1分か2分から30分続くこともある。ナルコレプシーの発作から目覚めると、人々は気分がすっきりしたと感じる。仕事をしたり学業を完了したりする能力を妨げる。状況によっては、ナルコレプシーは車の運転や機械の操作時に重大な危害や怪我を引き起こす可能性がある。

一般的に、ナルコレプシーはアンフェタミンなどの精神運動刺激薬を使用して治療されます（Mignot、2012年）。これらの薬は神経活動のレベルの増加を促進する。したがって、ナルコレプシーを治療するために開発された新しい薬は、ヒポクレチン系を標的とするように設計される可能性が非常に高いです。

 

主訴：起床時間中の過度の眠気　50歳女性

食事中、友人との付き合い中、車の運転中の入眠。

覚醒時に体の右側にいくらかの衰弱を感じた。彼女の脱力発作は彼女の体の右側に限定されていた特殊なケースである。覚醒剤を一般的な抗うつ薬と併用し、症状は快方に向かった。